校長室だより

2023.03.27

令和4年度 修了式 校長あいさつ

令和4年度を終了するにあたり、城北生にエールを送ります。

 まずはchargeという言葉について、一番身近な意味は、「充電する」でしょうが、それ以外にもたくさんの意味があります。そのたくさんの意味は「荷車に荷物を載せる」ところからきていると、ある本で読んだことがあります。なるほど、
「荷を積む→負荷をかける→請求する→相手を責める」 などつながっていきますね。
1 春休みは学習のchargeをしてほしい。
春休みは、たとえば、この1年間の定期テストの総復習をするなど、とにかく地道に習ったことの定着を図ってください。一見地味ですが、こうしたいわゆるchargeができる人こそが、本当に強い人です。どの教科でもいいので、最低一つ、できれば2~3教科はやってほしい。その手ごたえは、しばらく後になって、必ずいい形で出てくると思います。

2 大人になるということ
さて、今日は大人になるということについて話します。成人年齢が18歳に引き下げられ、皆さんは高校在学中に成人になります。しかし、大人になるということはたやすいことではありません。困難を超えて初めて大人と呼べる人になるのだと思います。よく言われる自由と責任という観点からではなく、今日は、生き方の観点から3つの話をさせてください。

(1)「それでもなお、人を愛しなさい。」
 マザーテレサは、座右の銘として、ケント・M・キースという人が書いた「逆説の10か条」という詩を取り上げています。その第一条、
「人は不合理で、わからず屋で、わがままな存在だ。それでもなお、人を愛しなさい。」
「それでもなお」という逆説を生きること。それが大人になるということです。
「それでもなお」という前向きな生き方の中に、大人になるカギがあると私は考えています。「それでもなお、人を愛しなさい。」

2) 強みと弱みと共に生きる
 中学から高校にかけて、一人一人の強み、弱みが、よりはっきりしてきます。これは学習の得意・不得意だけではありません。部活動、人間関係など、様々な場面で、自分の強みや弱みに直面し、その結果を引き受けなければならないことが多くなるでしょう。大切なことは、弱みを持った自分を否定するのではなく、受け入れ、自分の生き方に知恵として生かすことです。例えば、気の弱い自分に悩む人。その弱さは、多くの人間が抱える弱さを理解できる力になります。一方、人に優れた強みのある人。その強みを一途に磨くことは大切です。しかし謙虚さを失ったとき、その強みが逆にその人の弱みとなることがあります。能力は高いのに、自分を生かせない残念な人に会うことがあります。自己を謙虚に見つめ、人生のいろいろな場面で、人に対する敬意を忘れず、その強みを本当に生かせる強みにする。そこにも努力が必要です。たやすいことではありません。しかしそれが大人になるということです。

(3) 失敗から学ぶ
 失敗を恐れてはいけません。失敗のない人生とは、挑戦のない人生です。より高いもの、より良きものをめざせば、失敗はつきものです。悩みもついて回ります。しかし多くの悩みを抱えることは、みなさんのより良く生きたいという命の力が強いということでもあります。
 悩みながら前に進む。成功と失敗、強みと弱み、喜びと悲しみ。その振れ幅とそこからの学びこそが、やがて皆さんの人生に豊かな果実をもたらしてくれるでしょう。

 挑戦を続ける皆さんに、人種隔離政策と戦った元南アフリカ共和国大統領、ネルソン・マンデラ氏の言葉を贈ります。
 I never lose. Either I win or learn.
 「私は負けることはない、勝つか学ぶかだ」
 皆さんの健闘を祈ります。

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