校長室だより

2022.04.08

高等学校 第60回 入学式 校長式辞

 春の訪れ。温かい日射しと生命の発露。新生活への希望と期待。新しい一歩を踏み出すこの春の良き日、新入生と保護者の皆様を迎え、広島城北高等学校第六十回入学式を挙行できますこと、真に光栄であり、心からお祝いを申し上げます。
 新入生の皆さん、入学おめでとうございます。皆さんは試練を超え、自らの意思で、城北高校の一年生となりました。在校生、そして教職員一同、皆さんを歓迎いたします。本日、私たちとともに、城北高校での第一歩を踏み出しましょう。
 さて、学校とは何か?人類の知的遺産を、受け継ぎ次の世代へと伝える、それが学校の使命の一つといえます。その不易とも見える継承の営みの中で、時代の変化を反映した新たな学びや価値が創られていく。それも学校教育の持つ重要な可能性と言えます。不易なものと変わりゆくもの。
 今、ユーラシア大陸の中央部では、戦火の中、多くの子供たちの命と学びの機会が奪われています。言葉を失うほどの不条理な現実。人間の尊い学びの営みは、良心は、無力なのか。そんな問いに直面する事案が毎日のように報道されています。
 私たちに出来ることは、理性と良心の可能性を信じ、学び続けること。ささやかではあっても声を上げて前に進むこと。未来の世代へ、まだ見ぬ世界と人々に想像を巡らせ、新しい価値を探り生み出していくこと。教育は今新しい使命を帯びつつあると思います。こうした中、皆さんには心に明記してほしいことがあります。
 一点目 挑戦する勇気を持ちましょう。失敗を恐れず、より高い目標に挑戦しましょう。それはやがて高い志となって皆さんの人格となり、行く末を照らすでしょう。
 二点目 貢献する勇気を持ちましょう。今のままの自分で、人の役に立つことがあれば、率先して行動しましょう。そしてここ城北で学び身に付けた力は、人のため・社会のために役立てましょう。
 三点目 本校の校訓は「学んで厭かず、教えて倦まず」です。皆さん一人一人が授かった力を発揮し、優劣のかなたで、学びに浸る。そんな姿をこの城北という場で実現してほしい。皆さんが本物の学びに向かうべく、私たちも学びます。行動を共にします。志を高く持ち、他者や社会に貢献することを自分の「プライドの在処」として、「厭かず」学び続けていきましょう。
 最後になりましたが、保護者の皆様、本日は誠におめでとうございます。高校生となった我が子の姿を見て、感慨もひとしおでしょう。城北高校という選択が、お子様の人生にとって正しい選択であったと言えるよう、私たち教職員は、教育の力を信じ、手塩にかけて支援してまいります。
 目の前に待つ城北高校での千日を超える時間。試練の時もあるでしょう。どうかご家庭ではありのままのお子様を認め、支えてあげてください。今後も本校教育と本校教職員への変わらぬ信頼、ご理解、ご協力を賜りますようお願いし、式辞といたします。

                令和四年四月七日 広島城北高等学校 校長 松井太

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