校長室だより

2021.02.01

校長室だより(2月号)-時には斧をみる余裕を-

 Time flies like an arrow. 光陰矢の如し、と言いますがはや2月になってしまいました。

 高校3年生は、はじめてセンター試験に替わる共通テストを受けましたがそれも終わり、二次試験や一般入試の出願に向けて、担任や教科担任の先生方のアドバイスを受けながら、小論文、面接練習など着実に準備を進めています。3年生は、はじめて一つの試験が終わり安堵の面持ちながらも、次に来る試練に向かって、自分を戒めるような凜とした姿を見せてくれています。校長としてその頼もしさに対し、心からのエールを贈りたいと思います。

 渡辺和子先生の著書の一節に「一生懸命はよいことだが、休息も必要」という言葉があります。かつてご紹介した逸話ですのでご存知の方も多いかと思いますが、『私は、木を切るのに忙しくて、斧を見る暇がなかった』これは一人の実業家が、定年後に語ったという述懐を、私は自戒の言葉として受けとめています、と先生ご自身は述べています。寸暇を惜しんで、他人よりも良い木を、より速く、より多く切ることに専念したこの人が、仕事をしなくてよくなった時に見出したのは、刃がボロボロに欠けた斧でした。木を切る手を時に休めて、なぜ、斧をいたわってやらなかったかを悔やんだ言葉として紹介されています。

 大きな働きをして、大きな成果を挙げたとしても、木を切っていた斧である自分自身が、その間、心身ともにすり減っていたとしたら、本末転倒ではないでしょうか、と結んでいます。

 城北生全員がそれぞれの斧をもっています。中には無傷できれいな斧をもっている人もいるかも知れませんが、高校3年生に限らず、年度末には全員が斧を友とし、自分の持てる力を発揮するための手段として使い、「なすべきことをやり遂げた。」という晴れやかな顔で卒業・進級していくことを期待しています。

 3学期のハイライト行事であるマラソン大会は、コロナ禍の中にあってあらゆる情報を集めた結果中止としました。ひたすら走る城北生の姿を見ることはできませんが、自分の目標に向かって、正々堂々と走る、苦しさを堪えて頑張る生徒たちの心は健在だと信じています。

 今年度も残り一月となりましたが、新たな年度に向かって大きく歩を進める準備月になればと願っています。

 

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