校長室だより

2020.03.20

中学校第57回卒業式 校長式辞

 例年に比べ木々のつぼみも時を焦るかのようにふくらみ、瞬く間に花を咲かせまさに春爛漫の様相となりました。あちらこちらで、新しい息吹を感じる中、今日新たなスタートラインに立ち、今から走り出そうという皆さんをこうして送り出すことになりました。
 これまでみなさんを育んでこられた保護者の皆さん、そして様々に皆さんを導いてこられた担任の先生、授業担当の先生方にとりましては、義務教育を終え新たなステップに駆け上がっていく皆さんを見るにあたり、その感慨は言葉に表せないものもあると拝察します。
 さて、四月から皆さんは高校生として校門をくぐるわけです。高校から新たに入学する仲間たちも加わります。様々な意味で新たな出会いが待っています。新たな仲間たちも加わって、また一段と輝きを増して欲しいと思います。
 ところで、皆さんもよく知っているヨハンナ・スピリの「アルプスの少女」の中で、とても印象的な場面があります。「おじいちゃん、夕焼けってどうしてあんなに美しいの?」と、ハイジが聞きます。するとおじいさんは、「お別れする時が、何でも一番美しいんだよ。今、おひさまがね、私たちのいる地球に、お別れの挨拶をしているんだよ」と答えます。
 今、ここから見える皆さんの顔は、この場面と全く同じでとても輝いて見えます。中学校の3年間、「心を一つにして」何事も全員目標達成で乗り越えてきました。新しいものに挑戦することは、戸惑いや迷いもあると思いますが、修学旅行を契機にみなさんが取り組んだ「シネマ・アクティブ・ラーニング」、そして出来上がった作品の発表会、これからの新たな教育の動きにも様々なところで繋がっていくものと思います。
 ある人が、生きることには、三つのステップがあると言っています。第一のステップは「たくましく生きる」ことです。心や体を鍛え、命を大切にし、命の尊さを知り、恐れ多いことだという気持ちを持つことです。そのためにたくさんの体験をして、根っこを強くすることです。
 第二のステップは、「うまく生きる」と言うことです。生活環境とうまく馴染んで、友達と協力することの大切さを知り、お互いに助け合い、支えあってともに成長していくことです。
 これからは第三のステップの「よりよく生きる」ことが中心になってきます。こんなとき、どうすればいいのかを、自分で考え、判断し、自分で選び、決定し、生きていくことです。さらにもっといい考えはないか、もっといいやり方はないかと、自分で自分を高め、自分で責任を持つことです。
 一人ひとり、与えられた能力は違います。でも、誰しも何かしらの能力を秘めています。自分の能力を最大限に発揮するよう努めることは、この世に生を受けた人間の義務でもあると思います。自分を生かす努力を考え、そして続けてみましょう。そうすればその努力は皆さんを決して裏切ることはないと思います。
 最後になりましたが、ご家族の皆さまにご挨拶申しあげます。本日は誠におめでとうございます。お子様が立派に成長されたことを、心からお喜び申しあげます。3年間、様々なご苦労もあったこととお察しいたしますが、自信と誇りをもって生きていくことができますよう、これからも後押しをしていただければと思っております。三年間、本当にありがとうございました。
 皆さんは広島城北中学校を卒業しますが、四月からは高校生として大きく胸を張って前に進んでいく姿に再会できることを心待ちにしています。皆さんの高校生としての新しい学園生活がすばらしく輝くものになるよう心から祈って式辞とします。

 

一覧に戻る