校長室だより

2020.01.06

3学期始業式 校長あいさつ

 みなさん、あけましておめでとうございます。令和2年、2020年の幕開けです。三学期は比較的短い学期ですが、さまざまな意味で新たな階段を登る学期だと思います。
 なかでも高校3年生のみなさんは、いよいよセンター試験に臨む日がすぐ目の前に迫ってきました。中学校から城北で学んできた人たちは、中学入試以来の大きな試練の場だと思います。他校の受験生たちと、限られた時間の中で、精一杯自分の力を絞り切る二日間だと思います。全国で50万人以上の高校生がチャレンジするわけですが、みなさんにとって難しいと感じる問題は、ほとんどの受験生にとっても同様に難しく思える問題だと思います。これまでやってきたことに自信をもって臨んでください。
 モリマ、ド、モリマ、ハワクタニ/ビナアダム、ド、ビナアダム、ワタクタニ
(山と山は会わない。人と人は会う)山はそこから動くことはできない。しかし、人は動くことができる。そして、言葉をもっている。だから、人は自分から行動することをあきらめてはいけない。
 これは作文「98私の主張」で内閣総理大臣賞を受賞した、山形県の中学3年生が、その作文の中で話している言葉です。アフリカのケニアに生まれ、タンザニア育ち、一人日本に嫁いできたお母さんから、祖国の言葉として、諺として言われたものです。学級委員として悩んでいる友のことを先生に言われ、いじめている人ではなく、なぜ自分に言うのかという不満に対しての言葉でした。それはどんなに言葉や生活が違っても、人と人は分かり合えるという意味でした。お母さんは「あなたは自分でやろうとする強い意志がない。何でも人任せで自分の力を使おうとしない。それどころか、自分のことばかり考えて周りの人を大切に考えることすら忘れているんじゃないか。」と。そして「自分は『ビナアダム(人)』ではなく、『モリマ(山)』だったのでした」と続けています。
 どのような「いじめ」や「いやがらせ」だったのかは分かりませんが、お母さんの言いたかったことは、「他人から言われるのはいや、自分はやりたくないなど、自分自身でやることが少ない。」自分の意志で動いてほしい、人とのつながりを大事にしてほしい、ということを祖国の言葉を通じて教わったということに初めて気が付いた経験を語っています。
 山は動くことはできないけど、人は動ける。人は言葉を持っている。だから自分から行動することをあきらめるな、ということがいかに大事なことか、と結んでいます。
 夢に向かって、自分の意志で、2020年を歩いていきましょう。

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