校長室だより

2019.07.20

1学期終業式 校長あいさつ

 唐突な話ですが、高校生に異性観についてのアンケートをしたそうです。「付き合ってみたい理想の彼(彼女)はどんな人ですか」「結婚したい理想のタイプはどんな人ですか」この2項目の一位はいずれも「やさしい人」だったそうです。しかし、「自分はどんなタイプか」と聞くと、「明るい」「わがまま」「優柔不断」(ぐずぐずしてなかなか決断できないような性格)だと答える人が多かったそうです。人にはやさしさを求めるが、自分は明るく勝手気ままに振舞いたいということなのでしょうか。人にやさしさを求める心に「甘えたい気持ち」があるのでしょうか。作詞家の秋元康さんが、次のように語っています。
 「ほんとうのやさしさとは、自分から親切にしてあげることではなく、どんなときにも、どんな人にもやさしい対応ができるということです。」この言葉には「きっと君は変われるさ」というタイトルがついています。
 本当のやさしさとは何でしょうか。一般的に重い荷物を持ってあげることは親切でやさしい行為ではありますが、頼まれもしないのに荷物を持ってあげたら、相手は盗られるのではないかと不安に思うかもしれません。
 秋元さんは、頼まれもしないのに何かをしてあげるのはやさしさの押し売りであるが、その一方で自分の失敗を許して、さりげなく助けてくれるのもやさしさだ、と述べ「やさしさ」を次のように定義しています。

 本当のやさしさとは
 「押しのやさしさではなく受けのやさしさ。何かをしてさしあげるやさしさではなく許すやさしさ」だと。

 辞書によれば「優し」は動詞「癒す」の形容詞化したもので、相手のことを思うと「身も痩せるように感じること」だとあります。その原点は、母の子を思う心の全てではないかともいわれてます。見返りも求めず、ただ相手のために身も痩せる思いで心配する、そんなやさしさは難しいのかもしれません。
 1学期が終わります。また酷暑の夏がやってきます。中1から高3まで、目標は違うかもしれませんが、やさしさを「力」に替えて、この夏を乗り切ってほしいと思います。また、元気な姿で始業式に会いましょう。

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