校長室だより

2018.07.03

校長室だより 7月号

~心豊かな生徒の育成を願って~

 ディズニーランドで働くスタッフには、接客等のマニュアルといったものが用意されていないそうです。そのことを物語るエピソードがあります。
 一組のご夫婦が会場内のレストランに入ってこられました。そのお二人は「お子様ランチ」を注文されました。応対していた従業員は戸惑いを感じながらも、なぜ大人の二人が「お子様ランチ」を食べたいのか、という理由を聞いてみたそうです。というのも、普通のレストランであれば、「お客様、このメニューはお子様用ですので、こちらのメニューからお選びいただきたいのですが」といった対応がなされるからではないでしょうか。このご夫婦は次のように話します。

 「実は私たちには一人子どもがおりましたが、病気で天国に召されてしまいました。生きていれば、今日はその子の誕生日なのです。生前誕生日にはいつかディズニーランドでお子様ランチを食べたいなあ、と言っていました。今日はその願いをかなえてやるために家族で食事にきました。」

 それを聞いた従業員は、「分かりました。しばらくお待ちください。」と言って厨房に下がっていきました。しばらくすると、その従業員は子供用の小さな椅子と三人分の「お子様ランチ」を持って出てきました。

 「どうぞお子様とご一緒に、素敵な誕生会を開いてあげてください。ごゆっくりとお楽しみください。」と言って満面の笑みで接客したそうです。

 この話を聞いて、私はマニュアルのないディズニーランドの意味が分かったような気がしました。つまり、自分にできる最高のおもてなし、それがディズニーランドの最も大切にしている精神だと思いました。
 数年前になるかと思いますが、本校の文化祭に来てくれた小さなお子さんが、買ったばかりのフライドポテトを落としてしまって泣きそうな顔をしていたとき、それを見ていた生徒が新しいものを渡してくれたことを聞きました。おしかりの電話や、生徒の言動について厳しいお話しもいただきますが、多くの生徒たちには心の豊かな、ディズニーランドのこの逸話のような暖かい心が育ってくれることを願っています。今後とも地域の方々のご指導をいただきながら、みなさまの期待に応えることができる教育活動を進めてまいります。どうぞよろしくお願いいたします。

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