校長室だより

2017.05.02

校長室だより 5月号

〜新緑の5月に〜

 校庭では桜の季節も過ぎ、目に鮮やかな新緑の5月が始まりました。入学式から約1ヶ月となり新入生の存在が爽やかな初夏の風とともに、城北のキャンパスを包んでくれているように感じています。大きな声での挨拶、きびきびした動き、職員室の前のフリースペースでの読書や問題に取り組む姿を見るにつけ、子どもたちの持つ可能性を最大限に引き上げるという責任を、改めて心に深く留めています。
 私は児島邦宏先生の著書を読ませていただくことが多いのですが、先生が4月18日のことを紹介されていました。この日は「発明の日」なのだそうです。それにまつわるエピソードとして、ある小学校の理科の授業中に「先生、こんなにまわりには木がたくさんあるのに、どうしてどの木も、丸い幹ばかりなのですか。一本くらい、三角の木があったり、四角の木があってもいいと思うんですが・・・・」と手を上げて聞いた生徒がいたそうです。クラスのみんなは、「ばかなことを言うな。木の幹は丸いに決まっているじゃないか。」と言ってドッと笑ったそうです。すると先生は「とてもいい質問だ。けれども先生にも分からない。そんなことを考えてもみなかった。先生も勉強してみるから、君も勉強してみなさい。」と丁寧に質問に対する助言を返してくれたそうです。
 その後、この質問をした生徒は植物がとても好きになって、理科の生物が専門の先生になったそうです。でも、いまだに木の幹がなぜ丸いのかはわからないそうです、と結んでありました。
 「発明の日」はもう過ぎ去ってしまいましたが、新しいことを見つけたり、考え出したり、作り出したりするきっかけは、このお話のように何でもないようなことに、なぜだろう、どうしてだろうと疑問を持つことからはじまるということだと思います。
 「思考力」「判断力」を育てることは、今日の教育の核心となっていますが、知的好奇心を喚起する学舎でなくてはならないと思います。

平成29年5月  校長 岩本 光彦

 

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