校長室だより

2016.04.07

中学校第56回・高等学校第54回入学式 校長式辞

 太田川の流れも春の装いを運ぶかのように流れ、戸坂一帯も春の訪れとともに一層輝きを増し,まさに春爛漫の佳き日,多くのご来賓,保護者の皆様のご臨席をいただいき,ここに広島城北中学校第56回、広島城北高等学校第54回入学式を執り行うことができますことは,誠におめでたく,本校にとりましてこの上ない喜びであります。
 広島城北中学校に第56回生として入学された183名の皆さん,広島城北高等学校に第54回生として入学された210名のみなさん、ご入学おめでとうございます。みなさんは多くの難関を乗り越え,みごと本校への合格を果たし,それぞれの夢と希望をもって,ここに臨んでいることと思います。私たち教職員一同,皆さんの期待に応えるべく総力をあげて支援する決意でおります。
 本校は昭和36年に第一回の中学校入学式を挙行し,昭和38年に第一回の高等学校入学式を挙行して今日にいたっております。今年度は創立55周年を迎え、半世紀を超え新たな歩みを進めようとしています。
 本校には三つの「建学の精神」に裏打ちされた、素晴らしい校訓でもあり,いわゆる箴言(しんげん),いましめの言葉があります。それは「学んで厭かず、教えて倦まず」ということばです。何事にも立ち向かっていこうとする気概と誇りを持った生き方を通して,無限の可能性を秘めた若者たちを、どこまでも雄々しく育てて行こうとする城北教育の真髄であると私は理解しています。
 去る3月1日には第51期生が,自らの進路目標に向かって努力し,大きく飛び立っていきました。皆さんも本校の校訓の精神でもって,人をたのまず自らを信頼し,学びそして知ることに喜びを持ち,心身を鍛え,自らを制する精神をもって,二十一世紀の国際社会に向かって大きく成長していった,先輩たちに続いて欲しいと思います。
 本校の校章は中心に「中」「高」を配し,二匹の鯉が互いに見つめ合い、今まさに滝登りに向けて力を蓄えているように私には思えます。二匹の鯉がより高みに向けて飛び上がろうとする姿は、本校の力強く前進する姿勢をも表現していると思います。
 「Keep your face to the sunshine and you cannot see the shadow.」
 「顔を日差しのほうへ向けていなさい。そうすれば影は見えませんから。」
 これは生後19ヶ月の時に視力,聴力を失ったヘレン・ケラーの残した言葉です。家庭教師アニー・サリバンの指導を受け,障害を克服して世界に大きな感動を与えたことは有名です。ケラーが語っていることは,人生には困難はつきものであり,彼女の力強い言葉は,影ではなく光を見るようにと,弱気になりがちな心を勇気づけてくれるものです。
 これから皆さんが学ぶ広島城北中・高等学校での生活は、強い勉学への意志と能力をもった生徒が、自らの希望と判断によって選択した人生の一段階であります。得意な教科のある人はそれをさらに伸ばし,あまり得意でない人も,勉強は学校生活の基本であることを心にとめておかなければなりません。
 スズメバチの研究家である伊澤祐一さんがこのようなことを語っています。巣に帰ってきた働き蜂が、巣の中のゴミを外へ運び出して捨てようとしたその瞬間、誤って自分もゴミと一緒に転げ出てしまうことがあります。こんなときにこそ羽で羽ばたいて飛び上がればいいのに、決してそういう行動は取らずゴミと一緒に崖の一番下まで転げ落ちてしまうそうです。まるで、自分に羽根があることを忘れているかのようだ、と結んでいます。「ハチも羽を忘れる」、つまり、落ち着いてやれば自分の能力を最大限に活用できることはたくさんある、ということを述べているのだと思います。
 中学校・高等学校は自分の可能性を試してみる期間です。皆さんも様々な羽根を持っていることは間違いありません。努力する前に自分はできないものとして、あきらめてしまうことなど決してあってはなりません。
 皆さんは自らの責任において積極的,主体的に目標に向かって努力していかなければなりません。大海原のかなたには,必ずやみなさんの探し求めるものが待っています。心を豊かにして,大きな気持ちでこれからの学校生活に果敢に挑戦していただきたいと思います。
 最後になりましたが,保護者の皆様,本日は,誠におめでとうございます。本日よりお子様をお預かりいたします。私たち教職員は一丸となって,精一杯指導に打ち込み,保護者の皆様をはじめ,地域の方々の期待に応えられる教育を推進してまいります。本校教育と本校教職員への変わらぬ信頼と,ご理解,ご協力を賜りますよう衷心よりお願いして,式辞といたします。

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