校長室だより

2024.08.27

令和6年度 2学期 始業式 校長あいさつ

 毎日のように35度を超える暑い日が続いた夏休みでしたね。皆さんが元気に学校に戻ってきてくれたことを喜びたいと思います。
1学期の終業式で、「本気の行動を起こすきっかけは、待っているだけではやって来ない。自分から探しに行く夏休みにしてほしい」とお話ししました。皆さんはこの夏休みに、今後につながるきっかけを見つけることができたでしょうか?

 この夏休みに私は、来年城北を受験する小学生向けオープンスクールで、体験授業を担当しました。プログラミングされたロボットを操作してボッチャというスポーツを体験するというものです。ボッチャは、重い障害を持った選手が目標に向かってボールを投げたり蹴ったり転がしたりするスポーツで、今週始まるパラリンピックの種目でもあります。
 今回の講座の目的は、ロボットを操作するプログラミングそのものではありません。
ボッチャという競技を理解し、戦術を考えるチーム内の対話を進めることでした。参加した小学生や保護者の皆さんも、それを理解してくれたようでした。この体験は彼らの今後に生かされるきっかけになったのではないかと思います。

 みなさんの中にも夏休みに、大学のオープンキャンパスに行った人がいると思います。いろいろな大学のオープンキャンパスのCMはテレビでもたくさん見かけました。進路相談室の前の掲示板や受験雑誌にも、たくさんの大学情報が載っています。
 テレビ、インターネット、雑誌、電車の中吊り広告…、そこらじゅうにたくさんの情報があふれています。これって、たくさんのガチャが並んだガチャガチャショップのようなものだと思います。
 「キャラクター系」「ミニチュア系」「実用グッズ系」「企業コラボ系」「動物系」、さまざまな種類のガチャがショップには並んでいますが、特にほしいものもないままガチャガチャショップに入っても、まったく興味を惹きませんよね。
 大学の情報も、そもそも探そうとしている人には興味あるものかもしれませんが、進路選択について本気の行動を起こそうとしていない人にとっては、ガチャガチャショップと同じですよね?

 仏像のミニチュアを手に入れたいと思っていた私は、結構時間をかけて数あるガチャの中からやっと仏像ガチャを探し出し、どんなガチャが出てくるかワクワクしながら回しました。でも、出てきたのは欲しかった阿修羅像ではなく金剛力士像でした。こうなると狙っていた阿修羅像、しかも鮮やかな色のついたものが出てくるまでやめられません。ショップを出るときには7個のカプセルを持っていました。
 「自分の欲しいものが入っているガチャを探すのはけっこう大変」「アタリを増やすには、引く回数を増やすしかない」「〝しっぱい〟を繰り返す中で正解に近づく」…そんなことが書かれた本があります。『「ガチャ時代」のやりたいことの見つけ方』という本です。みなさんにお薦めの一冊です。
 そもそも、自分の欲しいものが決まっていますか?自分の欲しい未来が決まっていたとして、そのガチャの前に立ってもアタリが出るかどうかはわかりません。
 ガチャを引く回数をどれだけ増やすことができるかは、城北で過ごす時間のなかで、どんな体験をするかということでもあります。昨日と同じ今日を過ごしているだけでは見逃してしまうこともたくさんあると思います。

 進路選択だけでなく、毎日の生活の中にも同じようなことがたくさんあります。家族、先生、友だち、本、旅行、たくさんの体験の中に、自分にとってのきっかけが見つかるかどうか。
 自分の前にある、このガチャでいいのか、疑ってみることも必要です。当たり前の常識を疑ってみることが、新しい発見や成長につながります。

 2学期も、皆さんが自分の目標に向かって前進し続けることができるよう、先生たちは支えていきます。ガチャを引く回数を増やして、自分の可能性を広げていきましょう。迷うことがあれば先生たちを頼ってください。
 2学期の皆さんの成長を心から応援しています。

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