2026.03.06
高等学校第61回卒業式 校長式辞
厳しい寒さと、やわらかな温かさを繰り返しながら、季節は確実に春へと向かっています。
本日ここに、ご来賓の皆様、保護者の皆様をお迎えし、広島城北高等学校第六十一回卒業式を挙行できますことを、心よりうれしく思います。
日頃より本校の教育に温かいご支援を賜っておりますこと、厚く御礼申し上げます。
卒業生の皆さん、卒業おめでとう。
教職員一同、皆さんが今日この日を迎えたことを、誇りに思います。
今日という日を、皆さんはどんな思いで迎えているでしょうか。解放感、期待、
そしていくらかの不安。
歴史を振り返ると、新しい時代の入り口には、いつも不安がありました。先の見えない闇の中で、それでも選び、動いた人たちが、歴史をつくってきました。未来が約束されていたから行動したのではありません。
これから話すことは、一人の城北健男児でもある校長として行う、最後の授業だと思って聞いてください。
皆さんがこれから旅立つ社会は、学校ほど親切ではありません。正しいことが、必ず評価されるとも限らない。
それでも、城北健男児として、心に刻んでほしいことがあります。
社会は「何を言ったか」よりも「どう行動したか」を見ています。
城北健男児とは、成績が優秀な者、失敗しない者のことではありません。肩書きを誇る者でもありません。
多感な十代をこの城北で過ごし、仲間とぶつかり、自分の弱さと向き合いながら、それでも前に進もうとした――
その過程を生き抜いた者に、後から与えられる呼び名です。「君も城北か」「私も城北だ」
そう言葉を交わすとき、そこには「あきらめずに行動し続ける人間だ」という、無言の了解があります。
それは、広島城北高等学校が長い年月をかけて社会に築いてきた、
信頼の総体です。
かつて私も、同じ制服を着てこの坂道を上り、卒業の日を迎えました。社会に出て、何度もかけられた言葉があります。「君も城北か。」
その一言で、人との距離がすっと縮まる。母校が同じだというだけで、「信頼」が生まれる。
城北健男児は、社会の中で傍観者であってはなりません。理不尽なことから目を背けない。
弱い立場の人に想像力を向ける。
自分にできることを考え、行動する。
完璧である必要はありません。
誰かが困っているときに見て見ぬふりをしない。
行動する勇気を失わない人であってください。
授業の最後に、一つ問いを残します。
あなたは、城北で得た学びを、これから誰のために、どんな行動で社会に返していきますか。今、答えは出さなくていい。
人生をかけて、何度もこの問いにもどって考え続けてください。
保護者の皆様。これまで城北の教育にご理解とご協力を賜り、誠にありがとうございました。本日、十八歳の成人として立つ彼らの姿を、私たちも誇りに思います。
卒業生の皆さん。これから先、どこにいても、あなたは城北健男児です。歴史は、特別な誰かがつくるものではありません。不安を抱えたまま、それでも動いた人間がつくるものです。胸を張って、歩んでください。
皆さんとともに学べたことを心から誇りに思います。
ありがとう。
