校長室だより

2022.03.25

中学校 第59回中学校卒業式

 「啓蟄」けいちつということばがあります。春の訪れとともに土の中にいる虫たちが動き始める時期をさします。その日も過ぎ、まさに春爛漫を間近に控え、萌える命が大気の中に感じられる本日、保護者の皆様のご臨席の下、広島城北中学校卒業式を挙行できますこと、誠に光栄であり喜びに耐えません。ありがとうございました。
卒業生の皆さん、卒業おめでとうございます。皆さんは城北中学での約1000日の課程を終え、これからの1000日、高校生活に向かって新たな一歩を踏み出そうとしています。これまでの中学生活、高校生の先輩たちの後ろ姿を見て、先輩たちのたくましさ、そして憧れを感じてきた3年間ではなかったかと思います。思い起こせば過去2年間、コロナに祟られ、修学旅行をはじめ主な学校行事が中止となり、どこまでも続く変化のない日常の中、若さを出し切る機会も少なかったと思います。その中で皆さんは、城北生として力を蓄えてきた。一人一人、その自分を誇りとしてください。
 4月からの高校生活、同じ制服を身に付け、同じ敷地の中での生活が続きますが、その内面に流れる時間の質は違ってきます。高校生活は、ある意味、人生のうちで最も光っている時期といえます。なぜそうなのか?英語にpromisingという言葉があります。あらゆる経験が、あらゆる姿が、promise、有望な前途を約束してるかのように映る、未来を期待させる、それが高校です。そしてそれを支えるのが、高校生らしいひたむきな心。高校時代の輝きは、未来への予感は、そのひたむきさあってのものです。
 高校では、一人一人の強み、弱みも、よりはっきりしてきます。これは学習の得意・不得意だけではありません。部活動、人間関係など、様々な面において、自分の強みや弱みにはっきり直面し、その結果を引き受けなければならない場面が多くなることでしょう。大事なことは、弱みを持った自分を否定するのではなく、受け入れ、自分の生き方に知恵として転嫁することです。その一方、自分の強みを知り、それを謙虚に見つめ、人生のいろいろな場面で本当に生かせる強みにする。それが大人になるということです。
そのためには、挑戦が必要です。失敗を恐れてはいけません。失敗のない人生とは、挑戦のない人生です。より高いもの、より良いものをめざせば、失敗はつきものです。悩みもついて回ります。しかし多くの悩みを抱えることは、それだけみなさんのより良く生きたいという命の力が強いということでもあります。悩みながら前に進む。成功と失敗、強みと弱み、喜び、悩み、その振れ幅こそが、やがて皆さんの人生に豊かな果実をもたらしてくれるでしょう。
  挑戦する勇気
  貢献する勇気
  学んで厭かず、教えて倦まず
 高校に入ってからも、挑戦と貢献を続けてください。
 保護者の皆様、3年前、少し大きな制服に身を包んだご子息の入学時の記憶と、たくましく成長した本日の姿。その変化を実感され、感慨ひとしおの事と拝察いたします。誠におめでとうございます。
 まさに折り返し地点。私たち教職員一同、これからも、ご子息の1日1日を大切に、そして一人一人の命を輝かすべく、手塩にかけ、成長を見守って参りたいと思います。今後とも、ご理解・ご協力をよろしくお願いいたします。
以上 式辞といたします。

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