校長室だより

2018.03.20

中学校第55回卒業式 校長式辞

 校庭の木々のつぼみもふくらみ、あとは花を咲かせるのを待つばかりとなっています。あちらこちらで、新しい息吹を感じます。そして、今日、新たな未知のスタートラインに立ち、今から走り出そうという皆さんを、こうして送り出します。

 この旅立ちにあたり、多数の保護者の皆様方にご臨席を賜りまして、誠にありがたく、本校職員を代表いたしまして厚く御礼申しあげます。

 中・高一貫校である本校にとって、四月からみなさんと校内で会えなくなるということはないわけですが、義務教育を終えてさらに上級学校である高校生として、新たに広島城北高校に進むわけです。昨年度から高校から入学する3年制コースが加わり、みなさんにとっても新たな友との交流が始まることとなります。

 さて、今から3年前を振り返り、みなさんの入学式のことを思い返してみました。

 Live as if you were to die tomorrow. Learn as if you were to live forever.

 「明日は死ぬかのように生きよ。永遠に生きるかのように学べ。」

 自己に厳しく真理を追究した偉大な指導者、マハトマ・ガンジーの言葉ですが、この言葉を入学式の式辞の中で、みなさんに贈った事を思い出しました。入学式についてのみなさんの感想文の中で、中学1年生であったみなさんがこの言葉を覚えていて、印象に残った事柄としてあげてくれた文章を読み、とても感激したことを思い出します。

 先般、冬季オリンピックが閉幕しましたが、女子短距離スピードスケートの小平選手がインタビューの中で、まさにこのガンジーの言葉を、自分の生きる糧として大切にしているというエピソードを話していました。激しい弾圧や投獄にも屈することなく、非暴力、不服従の民族解放運動に献身した人として、偉大な指導者の言葉であったからこそ、七十年以上も経過した若者の心に大きな勇気と己を信じる力を与えたものとして、改めて夢や高いゴールを目指す人の強さに心を動かされました。

 皆さんは、木と石ではどちらが強いと思いますか?石の方が硬くて強そうですね。でも、木が石を割って、育つことがあるそうです。石のくぼみに落ちた、ひと粒の種が芽を出し、何年もかかって石を割りながら根を伸ばし、大地に根を張り、大きな木となります。石割り桜とか、石割り松、石割り楓などと呼ばれて、日本のあちこちで見る人を驚かせています。

 やわらかい土に落ちなくても、硬い石の上で、文句も言わないで一生懸命大きくなり、花を咲かせるまでになったのです。石を割って育った桜が、きれいな花を咲かせる姿を想像すると、生きることへの勇気がもらえると思います。

 みなさんは城北中学校で立派な芽を出しました。これから、どんどん大きくなるために、さらにしっかりした根を張ることが大切です。でも、根を張っていく途中には、やわらかい土もあるし、硬い石もあります。調子よく進むときはいいですが、何かにぶつかって進まなくなってしまったとき、友達や、お父さん、お母さんのせいにしてしまいたい気持ちになることもあると思います。

 そんなとき、自分の与えられた環境に文句も言わず、じっと頑張って石を割り、立派な花を咲かせる木のことを思い出してください。慌てないで、ひたむきに努力を続ければ、いつか硬い石のところを通り抜けます。みなさん一人一人に、その力があることを忘れないでください。先ほど述べた小平選手がガンジーの言葉を胸に、ひたすら自分を見つめ、高みを目指して進んだように、必ずや皆さんも周りの人を感動させる花を咲かせるものと確信しています。

 ご家族の皆様、本日は誠におめでとうございます。心よりお祝いを申し上げますとともに、この三年間、さまざまご協力をいただきましたことに、教職員を代表いたしまして、厚くお礼申しあげます。

 それではみなさん、四月には新たな気持ちで城北高校生として再会することを心から期待しています。これからのみなさんの活躍と健闘を信じて式辞とします。

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