校長室だより

2017.07.22

平成29年度 1学期終業式 校長あいさつ

 6年前に読んだ新聞記事ですが、とても強く印象に残ったので1学期のしめくくりの言葉として紹介します。内容は「老人を優しく支える社会へ」というタイトルで群馬県の女子高校生が「10代の声」という欄に投稿したものです。

 最近,お年寄りに対する虐待という痛ましい事件をよく耳にするようになった。そのたびに胸が締め付けられ,深い悲しみとともに強い憤りを覚える。
 少子高齢化社会がより進もうとしている今,私たちが生きるこの日本の社会で,お年寄りはどのような場所に位置付けられているのだろうか。数多く起こる悲しい事件の背景には,お年寄りを敬う存在と感じる人が少ない現状がうかがえる。
 約65年前に戦争という生き地獄を経験し,その後の日本を支え続けてくれたのは,紛れもなく現在のお年寄りたちなのだ。その恩に報いるためにも,社会全体の意識改革が必要である。
 今は知らぬ顔をしている私たちも,今よりもっと深刻化する高齢社会を支えていかなければならない。だからこそ,お年寄りを優しく包み込む社会全体の基本的な枠組みを確立してほしい。そして「老いてこそ人生」という言葉が似合う温かい社会になってくれることを,私は心から願っている。

 この投稿記事を読んだ大阪市に住む高齢者が、「高校生にもらった張り合い」というタイトルで次のような感想を投稿されています。

 私たち年老いた者は,すぐに「今の若い者は」と口癖のように非難しますが,七日付の「10代の声」で,高校生の広川良子さんの「老人を優しく支える社会へ」を読んで,感激しました。
 広川さんは「約65年前に戦争という生き地獄を経験し,その後の日本を支え続けてくれたのは紛れもなく現在のお年寄りたち。その恩に報いるためにも社会全体の意識改革が必要」「老いてこそ人生という言葉が似合う温かい社会になってほしい」などと書いてくださっています。
 私も夫を天国に見送って14年になります。その間,寂しさに打ち勝つため,気を奮い起こし,投稿を楽しみに一人で頑張ってきました。しかし,体力も気力も衰え,その上生きる張り合いも失いかけていたときに,この「老いてこそ人生」の言葉にハット気を取り戻しました。
 今,生かせてもらえることの幸せをかみしめ,残りの人生を前向きに頑張りたいと思います。広川さん,ありがとうございました。

 人の言葉というものは、読み手に感動や勇気を与えるものだと強く印象に残りました。さて、「冬の寒さよりも,夏の暑さの方が勉強やその他の活動を阻害する」,という言葉があります。それだけに,夏を制すれば,目標に大きく近づくことになる,と言われるのでしょう。また,先ほどの新聞の投稿にもありましたが,8月は広島にとって特別の月です。原爆の投下や,終戦記念日を中心に様々な行事が開催されます。 平和の意義や世界の動きに気持ちを向ける時間も持って欲しいと思います。二学期の始業式には元気で会えることを願っています。

一覧に戻る