校長室だより

2023.03.07

高等学校 第58回 卒業式

 寒い中にも、春の訪れの気配を感じる本日、ご来賓及び保護者の皆様のご臨席のもと、広島城北高等学校第58回卒業式を挙行できますこと、誠に光栄であり、喜びに耐えません。
 保護者の皆様 本日は、おめでとうございます。
 我々一同、皆様のお力に支えられ、ご子息の卒業の日を迎えることができました。思えばコロナに祟られた3年間、前例のない学校の決定に際しては、戸惑われたりご不満やご不安を感じられたことも多かったのではないでしょうか。お許しください。本日城北を巣立つご子息の明るい将来へ向けて、今後もこのご縁を大切にさせていただきたいと願っています。ありがとうございました。
 卒業生の皆さん、卒業おめでとうございます。皆さんがこの学び舎で過ごした約2000日・及び1000日の時間、多感な青春、様々な思い出と感慨が、今胸中をよぎっていることでしょう。その経験と記憶は、確実に皆さんの血肉となって、今後の人生を支えてくれることでしょう。
 卒業とは英語でcommencement、「始まり」という意味でもあります。これから新しい生活へ船出をする皆さんに3つのことをお話しします。

一 大人になるということ
 マザーテレサは、座右の銘として、ケント・M・キースという人が書いた「逆説の10か条」という詩を取り上げています。その第一条、
「人は不合理で、わからず屋で、わがままな存在だ。それでもなお、人を愛しなさい。」
 「それでもなお」という逆説を生ききること。それが大人になるということです。
「それでもなお」皆さんを愛し続けてくれた方々に感謝し、その恩を、こんどは自分が人様に返していく。それが大人になるということ。「それでもなお、人を愛しなさい。」

二 つながり
 ある哲学者のことば。「一輪の花も全宇宙の働きがこの一点に集中することによってはじめて咲くことができる。全宇宙の恵みによって一輪の花が咲くのだ。逆にその花が咲くことによって全宇宙が変わる。どんなに小さな物でも、それが宇宙の中にある以上、そのなかにあるすべてのものにそれぞれの仕方で恵みを与えているのだ。」
 皆さんは一人ではありません。多くの恵みがつながって生かされています。みなさん一人一人が一輪の花だとしたら、その命を、このつながりの中で生き切ってください。一人一人の力強い歩みが、やがて世界を変える。時代の波にのまれながらも、皆さんがつながり、生きる、その力を信じたい。

三 希望
 コロナに祟られた卒業までの3年間、気持ちも晴れない日々にじっと耐えながら、前を向いて歩んできたことでしょう。そして今日、3月1日。まだ挑戦を続けている多くの皆さんがいる。寒さの中、前を向いて戦っている。そんな皆さんに中学の国語で習った「故郷」の言葉を贈ります。
 「思うに希望とはもともとあるものともいえぬし,ないものともいえない。それは地上の道のようなものだ。もともと地上には道はない。歩く人が多くなれば、それが道になるのだ。」
 ユーラシア大陸の中央でつづく戦火、1年が経ちました。その知らせに不安の絶えない毎日。さらにコロナ禍の中、試練を乗り越えて今日まで希望を紡いできた皆さん。そんな皆さんに心から敬意を表します。
 城北高校第58期生 胸を張れ 城北プライド

 以上、式辞といたします。

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